「AIメール作成ツール」で検索して並ぶ製品には、解決する課題がまったく違う3つのカテゴリが混ざっています。汎用AIチャット、メール共有・問い合わせ管理SaaS、AIライティングツールの3つです。この違いを踏まえずに機能表と価格だけを並べても、比較になりません。この記事では3タイプの違いを整理したうえで主要ツールを比較し、用途別にどれを選べばよいかをまとめます。価格と機能はいずれも2026年8月時点で各社の公式ページから確認した情報です。
結論: 用途別のおすすめ
先に結論をお伝えします。次の3つのうち、自分の状況に近いものを選んでください。
- チームの受信箱を共有・管理したい: メール共有・問い合わせ管理SaaS(yaritori、楽楽自動応対、メールワイズ)。このうちAIによる返信の自動生成まで公式に案内しているのは yaritori と楽楽自動応対です
- 費用をかけずにまず試したい: 汎用AIチャット(ChatGPT、Gemini。Copilot は対象の Microsoft 365 プラン契約が前提です)
- 敬語やトーンの品質を上げ、自分の文体で書きたい: AIライティングツール(インキ、Catchy)
3つのうち2つに当てはまることもあります。その場合は、金額が大きいほうから決めるのが安全です。チームで使うSaaSはユーザー数×月額で費用が積み上がるため、まず組織として受信箱を共有する必要があるかどうかを判断し、その後に個人の書き味を上げるツールを選ぶ順番になります。
「AIメール作成ツール」は3タイプに分かれる
この記事の中心はここです。タイプを取り違えると、必要な機能が入っていない製品を比較してしまいます。
汎用AIチャット
ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot のような、対話しながら文章を作るAIです。メール作成は数ある用途の一つで、メール専用の機能ではありません。宛先との関係性や社内ルールは毎回プロンプトで伝える必要があります。ChatGPT と Gemini には無料プランがあり、費用をかけずに試せるのが利点です。Copilot は対象の Microsoft 365 プランへの契約が前提になります。
メール共有・問い合わせ管理SaaS
yaritori、楽楽自動応対、メールワイズのような、チームの受信箱を共有して対応状況を管理する製品です。AIによる返信生成は、あくまで受信箱管理機能の一部として提供されます。個人が1通のメール文面を練り上げる用途ではなく、組織として問い合わせを受けきる用途に向いています。料金はユーザー単位の月額で、最低契約ユーザー数が決まっている製品もあります。
AIライティングツール
Catchy、Transcope、インキのような、文章を書くこと自体を主機能にした製品です。メールは対応する文書タイプの一つで、記事や広告文など他の文章にも使えます。受信箱とつながっているわけではないため、届いたメールへの返信を自動化する用途には向きません。
タイプを取り違えるとどうなるか
「AIメール作成ツール」の比較記事で価格だけを見て、1ユーザー月額600円のメール共有SaaSと、無料で使えるAIチャットを並べても、判断材料になりません。前者は複数人で受信箱を共有するための料金であり、後者は文章生成の料金だからです。同様に、1人でメールの文面を整えたい人がメール共有SaaSを契約すると、最低ユーザー数の縛りで必要のない席まで買うことになります。
比較の前に「受信箱の運用を変えたいのか、文面の品質を上げたいのか」を決めておくと、候補は自然に絞れます。
主要ツールの比較表
以下は各社の公式ページで確認できた範囲の情報です(2026年8月時点)。金額の表記は各社の公式ページに合わせています。
| ツール | タイプ | 料金 | メールまわりでできること | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | 汎用AIチャット | 無料プランあり。有料は Go 1,400円 / Plus 3,000円 / Pro 16,800円〜(月額) | 汎用の文章生成の一用途としてメールを作成 | まず無料で試したい |
| Gemini | 汎用AIチャット | 無料プランあり。有料は Google AI Plus 725円 / AI Pro 2,900円(月額) | 汎用の文章生成に加え、Gmail の文章作成サポート(対象プラン) | Gmail で完結させたい |
| Microsoft Copilot | 汎用AIチャット | 対象の Microsoft 365 ビジネスプランに Copilot Chat が追加費用なしで付属。フル機能の Microsoft 365 Copilot は月払い 3,778円/ユーザー | Outlook でのメール下書き作成 | Outlook 中心の職場 |
| yaritori | メール共有・問い合わせ管理SaaS | 1ユーザー月額 1,980円〜、初期費用無料、7日間無料トライアル、最低2ユーザー | 受信箱の共有管理、対応履歴とテンプレートからの返信自動生成、ビジネス文体変換、クレーム自動検知、翻訳 | チームで問い合わせに対応する |
| 楽楽自動応対 | メール共有・問い合わせ管理SaaS | 問い合わせ制(公式に価格表なし) | 過去の対応履歴とFAQをナレッジにした返信文案の自動生成 | 問い合わせ件数が多い組織 |
| メールワイズ | メール共有・問い合わせ管理SaaS | 月額 600円/ユーザー〜(税抜、最低5ユーザー) | メールの共有・一元管理 | 少ない費用でチームのメールを共有したい |
| Catchy | AIライティングツール | 無料プランあり(月10クレジット)。有料は Starter 3,000円〜 / Pro 9,800円(月額) | 100種類以上のテンプレートからの文章生成。謝罪・断りメールなどに対応 | メール以外の文章もまとめて作りたい |
| Transcope | AIライティングツール | 無料あり(4,000文字・1週間)。有料は Basic 税込 11,000円(月額) | SEO記事作成が主機能。メールは社内文書ライティングの一用途 | SEO記事の作成が主目的 |
| インキ | AIライティングツール | 無料プランあり(毎月100クレジット、クレジットカード不要)。有料は Light 1,400円 / Pro 2,800円(月払い、日本) | ノートエディタでの下書き、フォルダ単位の文体学習、文法・トーンのレビュー、敬語チェッカー | 自分の文体で敬語のメールを書きたい個人 |
料金は改定されることがあります。契約前に各社の公式ページで最新の金額をご確認ください。
汎用AIチャット3製品の違い
無料で試せる範囲が広く、最初の選択肢になりやすいタイプです。3製品とも文章生成そのものは強力で、メールの下書きを作るだけなら十分に実用的です。
ChatGPT
無料プランがあり、有料は Go が月額1,400円、Plus が3,000円、Pro が16,800円からです(2026年8月時点)。メール作成は数ある用途の一つで、メール専用の機能として用意されているわけではありません。文章生成の汎用性が高く、メール以外の作業も同じ画面で進めたい場合はこの1本で足ります。宛先との距離感や社内の言い回しは毎回プロンプトで指定することになります。
Gemini
無料プランがあり、有料は Google AI Plus が月額725円、AI Pro が2,900円です(2026年8月時点)。汎用AIチャット3製品のなかでは有料プランの入口が最も安価です。Gmail の「Help me write」(文章作成サポート)は有料プランまたは対象の Workspace プランで利用でき、2025年4月の Workspace Updates で日本語対応が案内されています。普段のメールが Gmail で完結しているなら、書く場所を変えずに使えるのが強みです。
Microsoft Copilot
Outlook でのメール下書き(Draft with Copilot)に対応しています。対象の Microsoft 365 ビジネスプランには Copilot Chat が追加費用なしで含まれ、フル機能の Microsoft 365 Copilot は月払い3,778円/ユーザーです(2026年8月時点)。Outlook でメールを書いている職場では、追加契約なしで使える範囲があるのが強みです。
汎用AIチャットで作った下書きに残りやすい癖と直し方は、AI で書いたビジネスメールの仕上げ方で解説しています。
メール共有・問い合わせ管理SaaS 3製品の違い
個人の文面づくりではなく、チームの受信箱運用を変える製品群です。問い合わせの取りこぼしや二重対応をなくすことが主目的で、AIによる返信生成はその上に乗る機能という位置づけになります。
yaritori
1ユーザー月額1,980円から、初期費用無料、7日間の無料トライアル付きで、最低2ユーザーからの契約です(2026年8月時点)。yaritori AI は、過去の対応履歴やテンプレートをもとにした返信の自動生成、ビジネス文体への変換、クレームの自動検知、翻訳に対応しています。届いたメールを読んでから返信案を出すところまで一続きで進む点は、文章生成だけのツールにはない強みです。チームで問い合わせ対応をしているなら、有力な選択肢になります。
楽楽自動応対
ラクスが提供するメール対応の管理サービスで、料金は問い合わせ制です(公式に価格表はありません)。2025年10月の公式リリースで案内されたAIエージェント機能では、過去の対応履歴やFAQをナレッジとして返信文案を自動生成します。蓄積した対応履歴が多いほど返信案の精度が上がる設計なので、問い合わせ件数が多い組織ほど効果が出やすいタイプです。
メールワイズ
サイボウズのメール共有サービスで、月額600円/ユーザーから(税抜、最低5ユーザー)と、この記事で比較した製品のなかで最も安価な部類に入ります(2026年8月時点)。メールの共有と一元管理が主機能で、製品自体のAI生成機能は公式ページからは確認できませんでした。文面をAIに書かせることより、まず受信箱を共有して対応漏れをなくしたい場合に向いています。
AIライティングツール2製品の違い
文章を書くこと自体が主機能の製品です。受信箱とはつながっていないため、返信の自動化はできません。そのぶん、文面の質を上げる方向に機能が寄っています。
Catchy
無料プランがあり(月10クレジット)、有料は Starter が月額3,000円から、Pro が9,800円です(2026年8月時点)。100種類以上のテンプレートを備えた汎用のAIライティングツールで、謝罪メールや断りメールといった文章の生成にも対応しています。メールだけでなく広告文やキャッチコピーも同じツールで作りたい場合は、テンプレートの幅がそのまま利点になります。
Transcope
無料で試せる範囲があり(4,000文字・1週間)、有料は Basic が税込11,000円です(2026年8月時点)。SEO記事の作成が主機能で、メールは社内文書ライティングの一用途という位置づけです。検索上位を狙う記事制作が主目的で、その延長で社内文書も扱いたい場合に合います。メールの文面づくりだけを目的に選ぶ製品ではありません。
インキ(Inki)の位置づけ
最後に、この記事を書いているインキ自身の位置づけを正直に書きます。
インキには、受信箱との連携、返信の自動化、チームでのメール共有管理はありません。この記事の1つ目の用途(チームの受信箱を共有・管理したい)に当てはまる場合は、yaritori や楽楽自動応対のようなメール共有・問い合わせ管理SaaSを選んでください。
インキはノートエディタで、フォルダ単位で文体を学習し、文法とトーンをレビューするAIライティングツールです。メールは対応する文書の一つで、それ以外の文章にも同じように使えます。無料プランは毎月100クレジットでクレジットカード不要、有料は Light が月額1,400円、Pro が2,800円です(月払い、日本、2026年8月時点)。
向いているのは、「自分の文体で、AIっぽくない敬語のメールを書きたい個人」です。毎回ゼロからプロンプトを書くのではなく、フォルダに書きためた文章から文体を学ばせ、ドラフト全体のレビューで敬語やトーンの揺れをまとめて確認する使い方になります。
敬語そのものの判断基準はビジネスメールの敬語ガイドにまとめました。
書き味を確かめたい場合は無料で書き始めるところから試せます。
インキの敬語チェッカーは、この先のセクションに埋め込んであり、そのまま使えます。送信前のメール文を800字まで貼り付けると、失礼に聞こえる表現、硬すぎる言い回し、敬語の不自然さを理由付きで指摘します。
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比較検討の段階では、機能一覧を読むより、実際に自分が書いたメールを1通通してみるほうが早く判断できます。上のツールで結果を見てから、他のツールの無料プランと比べてみてください。指摘された箇所をどう直すかの考え方は、ビジネスメールでよくある間違いと見直しポイントで解説しています。
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