直す前に知っておく3つの前提
AIっぽさを消す作業でいちばん多い失敗は、「活用」「最適化」といった特定の単語を狩ることです。単発なら人間も使う語なので、そこだけ置き換えても文章の質は変わりません。むしろ語尾だけ機械的に直すと、別のAIっぽさが生まれます。次の3点を先に押さえると、点検の精度が上がります。
- 単語ではなく密度で判断する。「〜と言えるでしょう」も1回なら普通。同じ薄い定型が段落に何度も重なったときだけ直す
- 上から順に点検する。表記→言い回し→文→文章全体の順で、機械的に直せる層から片づける。順番を守るほど迷いが減る
- 良い文章は直すところが少ない。すでに具体的で判断がある文を、水増しで書き換えない。目的は情報密度を上げることで、いじり回すことではない
層1: 表記・記号の手癖(機械的に直せる)
最初に必ず点検する層です。判断がいらないので、ここを片づけると本題に集中できます。よく出るのは、和文中の英単語・数字の前後に入る半角スペース(「弊社では AWS を」→「弊社ではAWSを」)、読者が知っている略語への正式名称の併記(「DX(デジタルトランスフォーメーション)」→初出1回だけか、削る)、「重要な要素:」のようなコロン後スペース付きラベル、本文に残った「太字」「# 見出し」「---」、「──」によるダッシュ補足、普通の語を何度もカギ括弧で強調する癖です。表記規約が決まっている文書なら、その規約を優先します。
層2: 言い回しの定型(中身を入れ直す)
「本記事では〜について解説します」で始まり「いかがでしたか」で終わる型、「重要です」「画期的」「〜のカギ」といった評価語、「〜と言えるでしょう」「ケースバイケース」で判断を避ける言い回し、「活用」「最適化」「価値を最大化」の抽象語連鎖。これらは事実の代わりに置かれています。導入は読者の状況・問題・結論のどれかから始め、評価語は削って、原文にある事実・行動・結果に語らせます。根拠がある部分は言い切り、条件があるなら断定を弱めるのではなく条件を書きます。
層3: 文のつくり(構文とリズム)
「〜することができます」は「〜できます」に、「〜することが重要です」は行動そのものに戻します。「この施策は〜を可能にします」のような無生物主語の直訳調は「この施策により〜できます」に。文脈から分かる主語を毎文「弊社は」「ユーザーは」と付けるのも直訳調に見えるので、自然な範囲で省きます。同じ語尾が3文以上続いたら、文を結合・分割して緩急をつけます。重要な判断は短く、説明は少し長く。同じものを「同社」「当該企業」と呼び替えず、同じ用語で通します。
層4: 文章全体の構え(構造と具体)
説得や共感を担う部分まで箇条書き・見出し・太字になっていたら、文章に戻します。何でも「3つのポイント」にまとめる癖、短い文章にまで付く「まとめ」見出しも同じです。手順・条件・比較のように構造が読者の役に立つ場所だけ残します。最後に、見出しも箇条書きも整っているのに固有名詞・数値・場面がどこにもない状態になっていないかを見ます。原文にある具体情報を前に出し、締めは総括の言い直しではなく、判断・次の行動・具体的な事実で終えます。