請求書のメールは、受け取った人がそのまま処理するとは限りません。担当者が経理へ転送し、経理は取引の経緯を知らないまま添付を開きます。このとき本文に請求書番号も金額も期日もなければ、経理にできるのは転送元へ聞き返すか、後回しにするかのどちらかです。請求書の中身が正しいことと、そのメールが期日までに処理されることは別の話。本文は、転送された先の人が読んでも処理できる形にします。
- 件名には「請求書」と対象の年月、自社名を入れます。経理の受信箱には、同じ月に似た件名が何十通も並びます
- 本文には請求書番号・請求金額(税込)・支払期日の3点を転記します。添付を開かずに突き合わせられれば、確認の往復が減ります(このほかに添付ファイル名を1行)
- 添付は PDF にして、ファイル名に年月と自社名を入れます。「請求書.pdf」は、相手が保存した先で見分けがつきません
送信前に突き合わせる必須項目
下の表は、送る直前に本文と添付を1項目ずつ見ていくための一覧です。どこに書くかまで決めておくと、毎月の送信で迷いません。
| 項目 | 書く場所 | 抜けたときに起きること |
|---|---|---|
| 請求書番号 | メール本文と請求書の両方 | 経理が添付を開くまで照合できず、問い合わせが一往復増える |
| 請求金額(税込) | 両方 | 本文と添付の食い違いに気づくのが入金後になる |
| 支払期日 | 両方 | 相手の支払サイクルに載らず、翌月払いへ回る |
| 振込先の口座 | 請求書。口座を変えた月だけ本文にも | 記載漏れは入金遅延の直接の原因になる |
| 対象期間と取引内容 | 請求書。本文は案件名だけで足りる | 何に対する請求か分からず、社内の承認が止まる |
| 登録番号と税率ごとの消費税額 | 請求書 | 適格請求書として扱えず差し戻される(適格請求書発行事業者の場合) |
| 添付ファイル名 | 本文 | 添付漏れに送信後まで気づかない |
本文へ転記するのは、番号・金額・期日の3点にとどめます。これに添付ファイル名を足した4行が本文の定型です。明細や振込先まで写すと、請求書と食い違ったときにどちらが正なのか相手が判断できません。
口座を変えた月だけ、本文にも書く
振込先の口座は請求書に載せます。毎月同じ内容を本文へ重ねて書いていると、口座を変えた月に古い記載が残り、相手は前の口座へ振り込みます。口座変更の連絡は、メールだけで完結させないほうが安全です。取引先を装って振込先の変更を知らせる手口があり、確かめにくいためです。まず電話でも一報を入れ、相手が折り返せる番号を本文に書き添えます。そのうえで、変更があった月だけ本文に「今回より振込先が変わります」と1行置いて新しい口座を書き、次の月からは請求書の記載に戻します。
添付は PDF にして、ファイル名で照合できるようにする
Excel や Word のまま送ると、相手の環境で体裁が崩れ、しかも数字を書き換えられる状態で残ります。請求書は PDF にします。ファイル名は「請求書_202607_{自社名}.pdf」のように、年月と自社名を入れておくと、経理が保存した後でも探せます。複数の案件をまとめて送るなら、1通に何ファイル添付したかを本文に書きます。添付ファイルの送り方そのものは、添付ファイル送付メールの書き方でまとめて扱っています。
誤りに気づいたら、差し替えか差額調整かを先に決める
金額や宛名を間違えたときの対応は、相手がどこまで処理を進めているかで変わります。まず先方の状況を確かめ、それから文面を書きます。
| 相手の状況 | 取る対応 | メールに書くこと |
|---|---|---|
| まだ支払手続きに入っていない | 正しい請求書を再発行して差し替える | 誤・正の対比、新旧の請求書番号、旧請求書の破棄依頼、期日を据え置くかどうか |
| 社内承認は済み、振込前 | 差し替えたうえで期日を相談する | 上に加えて、再承認にどれだけ日数がかかるかの確認 |
| すでに入金されている | 不足なら差額を追加請求、過払いなら返金か次回相殺のどちらかを相手に選んでもらう | 差額の金額、どちらの方法を希望するかを尋ねる一文 |
件名の先頭には【差し替え】か【再送】を置きます。旧請求書と同じ件名で送ると受信箱に新旧が並び、古いほうで処理されます。請求書番号は、新しい番号を採るか枝番({請求書番号}-1)にするかを社内の運用に合わせ、どちらにしても旧番号を本文へ書きます。謝罪は冒頭の一文で足ります。長く書くほど、どちらの請求書が有効なのかが読み取りにくくなります。
入金の確認と、期日を過ぎたとき
お礼は、入金明細で着金を確認してから送ります。書くのは入金日、金額、対象の請求書番号の3つ。領収書が要るかを一行添えると、後から別便で頼まれずに済みます。請求額と数百円ずれているときは、振込手数料が差し引かれていることがほとんどです。負担の取り決めを契約書で確かめ、こちらの負担ならそのまま処理し、相手負担のはずなら次回の請求前に一度すり合わせます。期日を過ぎても入金がないときの督促は、催促メールのテンプレートで段階別に扱っています。