レポート・論文

引用の書き方|レポート・論文の直接引用・間接引用・孫引きとNG例

原文をどこまで写してよいか、出典をどこにどう書くか。本文中の引用の型を、判断表と例文で整理しました。

10分で読める2026年10月6日

目次

引用の書き方の基本は、原文をそのまま使うなら「 」で囲んで出典を示し、自分の言葉に言い換えるなら要約したうえで出典を示すことです。引用した文献は、どちらの場合もレポート末尾の参考文献リストへ。

ルールを外すと、悪気がなくても剽窃(ひょうせつ)と扱われます。九州大学附属図書館の引用ガイドは、剽窃と認定されるとその学期の全単位が取り消され、退学になる可能性もあると説明しています。この記事は本文の中での引用の示し方に絞り、参考文献リストの書式は参考文献の書き方に譲ります。

この記事で分かること

  • 原文の言葉そのものが要るなら直接引用、要旨だけでよいなら間接引用を使う
  • 本文中の出典は「著者名・年」か「番号」の2方式で示し、1本のレポートの中ではどちらかに統一する
  • 長い引用は「 」を付けずにブロックにし、前後を1行空けて行頭を2字下げる
  • 間接引用は、語順や語尾を変えただけでは足りず、自分の文で書き直したうえで出典を付ける
  • 孫引きは原典に当たって避け、どうしても手に入らないときは原典と引用元の両方を示す
  • 引用は自分の主張を支える従の位置に置き、量は必要な範囲に絞る

直接引用と間接引用の違い:どちらを使うかの判断表

直接引用は原文を一字一句そのまま「 」に入れる方法、間接引用は原文の内容を自分の言葉で要約する方法です。どちらも出典が必要です。

項目直接引用間接引用(要約)
使う場面定義の文言や特徴的な言い回しなど、言葉そのものが要るとき主張の要旨や調査結果だけを使うとき
書き方原文を変えずに「 」で囲む。長いときはブロック引用「 」は使わず、自分の文で言い換える
出典の示し方著者名・年に加えてページ番号を書く。ページのないウェブ資料は節名や段落番号で箇所を示す著者名・年(または番号)を書く。ページは書式の指定に従う
注意点誤字も原文どおりに写す原文の意味からずれやすい

迷ったら、原文の言葉づかい自体が論点かどうかで決めます。論点なら直接引用、中身だけが要るなら間接引用。引用したい部分が数行を超えるときは、まず間接引用で短くできないかを考えます。

なお、レポートでは出典を付けた要約は間接引用の一種です。出典のない要約は、他人の考えを自分のものとして書いたことになります。

本文中の出典の示し方:著者名・年方式と番号方式

本文中の出典は、引用した箇所に著者名と発行年を書く「著者名・年方式」か、通し番号を振る「番号方式」のどちらかで示します。立命館大学図書館の引用ガイドは、前者をハーバード方式、後者をバンクーバー方式と呼び、同じ引用文で両方の例を並べています。

方式本文中の書き方参考文献リストの並び
著者名・年方式(ハーバード方式)山田(2020)は「……」と述べている(p.45)。/「……」(山田, 2020, p.45)著者名の五十音順・アルファベット順
番号方式(バンクーバー方式)山田は「……」と述べている(1)。本文に出てきた順(番号順)

この記事の例に出てくる著者名・年・ページは、すべて架空です。

著者名・年方式は、APA スタイル(第7版)の基本形でもあります。著者名を文中に書く形と、文末の( )にまとめる形のどちらも使えます。

どちらを使うか。まず授業や大学の執筆要項の指定に従い、指定がなければ分野の慣習に合わせます。大阪大学附属図書館の講習資料は、所属専攻の紀要論文のスタイルも参考になるとしたうえで、どの方式でも文書内で必ず統一するよう勧めています。

同じ文献を2回目以降に引くとき

著者名・年方式では、2回目以降も同じ形で書き、ページが違えばページだけ変えます。番号方式には、同じ番号を使い回す流儀と、新しい番号を振って注に「再掲」と書く流儀があります。近畿大学中央図書館のガイドは後者の例として「2)再掲 1)」を示しています。

直接引用の書き方:短い引用・長い引用・省略・補足

直接引用は、原文を一字も変えずに写し、引用の範囲を記号で区切る書き方です。短ければ「 」、長ければブロック引用にします。

短い引用は「 」で囲み、ページを書く

例:山田(2020)は「……」と述べている(p.45)。

  • 原文の中に「 」があれば、『 』に置き換える
  • 誤字や古い表記も、原文どおりに写す
  • ページを書く。上越教育大学の心理学研究室が公開している執筆ガイドは「「 」を使ったら,必ずページを書く」と覚えるよう勧めています。複数ページにまたがるときは pp.45-46 と書きます
  • ページ番号のないウェブページや電子書籍は、節の見出しや段落番号で箇所を示す。APA 第7版の案内では「(山田, 2020, 考察の節, para. 3)」のように、見出し名と先頭から数えた段落番号を書きます

長い引用はブロック引用にする

長い文章を引くときは「 」を付けず、本文から前後1行ずつ空けて、行頭を2字下げます。立命館大学と近畿大学のガイドが示す形も、これと同じ。何行からブロックにするかは要項によって違います。英語の APA スタイルでは40語以上をブロック引用にすると決めています。

レポートの本文では次の形になります。引用ブロックに入れるのは原文だけで、前の導入文と後の考察は自分の文として本文に置きます。

山田(2020)は、引用の役割を次のように説明している。

  (ここに原文を一字一句そのまま写す。数行にわたる長い引用)(p.45)

この説明に従えば、……(ここから自分の考察が続く)

途中を省く・言葉を補う・原文の誤りを残す

記号を使えば、直接引用でも原文に手を加えられます。九州大学附属図書館のガイドの書き方に沿うと次のとおりです。

したいこと書き方例
途中を省く省いた箇所に(中略)を入れる「引用は、(中略)出典を示して初めて成り立つ」
言葉を補う〔 〕に補足を入れる。書式によっては[ ]を使う「それ〔引用の規則〕を守る必要がある」
原文の誤りを残す誤りの直後に(ママ)と書く「資料を参照(ママ)する」

英語の文献を引くときは、省略に「...」(省略記号)を使うのが一般的です。

間接引用(要約)の書き方:言い換えと境界の示し方

間接引用は、原文を理解したうえで自分の文で言い直し、誰の考えかを文中で示す書き方です。「 」は使いませんが、出典は直接引用と同じく必要です。近畿大学のガイドは、出典を書かない間接引用は原文を改変した剽窃として扱われると注意しています。

語順や語尾を変えるだけでは言い換えにならない

九州大学のガイドの「区別の方法」は、間接引用では原文の表現に頼ることさえ許されないと書いています。原文を読んだら閉じ、要点を1文でメモしてから書き、最後に原文と照らして意味のずれと言い回しの残りを確かめます。

Before

原文(架空):「大学生のレポートで最も多い問題は、資料の内容と自分の意見の区別がつかないことである。」 → 大学生のレポートで一番多い問題は、資料の内容と自分の意見が区別できないことだ(山田, 2020)。

After

山田(2020)は、大学生のレポートに最もよく見られる問題として、資料の内容と書き手の意見の混同を挙げている。

修正前は単語と語尾を替えただけで、骨組みは原文のままです。修正後は要点を言い直し、誰の指摘かを文頭で示しました。

自分の主張と引用の境界を示す言い回し

間接引用では「 」がないぶん、どこまでが他人の考えかを述語で示します。

言い回し向いている場面
〜と述べている一般的な記述や発言
〜と指摘している問題点や見落としを示した記述
〜と主張している議論の分かれる立場や意見
〜と論じているまとまった議論の要旨
〜によれば/〜によると調査結果、データ、説明を借りるとき
〜を明らかにしている調査や実験で示された結果
〜と定義している用語の定義
〜と批判している他の説への反論

述語を選ぶときは、引用元の確信の度合いを勝手に強めないでください。原文が「示唆している」程度なのに「明らかにしている」と書くと、要約の誤りになります。

引用のあとに自分の解釈を続ける型

引用で段落を終えず、自分の文を続けます。

  • 「〜と指摘している。この指摘に従えば、〜と考えられる。」
  • 「〜と述べている。しかし本レポートの調査では、〜であった。」
  • 「AはBと論じ、CはDと反論している。本レポートでは、〜の点からCの立場をとる。」

自分の主張を書く文は、「本レポートでは」「筆者は」で始めると、引用との切り替わりが読み手に伝わります。

孫引きとは:原典に当たる手順と、手に入らないときの書き方

孫引きとは、読んだ文献Bの中で引用されている文献Aの内容を、A を自分で読まずに引くことです。二重引用とも呼ばれ、大学のガイドは避けるよう求めています。問題はどこにあるのか。九州大学のガイドは、それを「責任の所在が分からなくなること」と「伝言ゲームになってしまうこと」の2点にまとめています。科学技術振興機構(JST)が定めた参照文献の基準 SIST 02 も、読んでいない資料に依拠して参照したように示すことは「論文内容の記述に対する信頼性を欠くことに繋がる」としています。

原典に当たる手順

  1. 文献Bの参考文献リストで、文献Aの著者名・題名・年・掲載誌・ページを控える
  2. 所属大学の図書館の蔵書検索(OPAC)でAを探す
  3. 論文なら CiNii Research や Google Scholar で検索し、本文を読める公開版がないか確かめる
  4. 学内になければ、他大学からの複写の取り寄せを図書館のカウンターで相談する
  5. それでも手に入らなければ、同じ内容を書いた入手できる別の文献で代えられないか探す

長い原典の PDF は、インキのAIアシスタントに読み込ませると、引用したい論点がどの節に書かれているか見当を付けられます。写す文そのものは、必ず原典のページを開いて確かめてください。インキを無料で使ってみる

どうしても原典が手に入らないときの書き方

上の手順を尽くしても読めないときは、原典と、実際に読んだ引用元の両方を示します。

  • 著者名・年方式の例:「原典の著者(原典の年)は〜と述べている(引用元の著者, 引用元の年, p.[ページ] より重引)。」
  • APA スタイルの例:APA は「as cited in」を使うと定め、(Rabbitt, 1982, as cited in Lyon et al., 2014) という例を示しています。参考文献リストには、実際に読んだ引用元だけを載せます

日本語の書式で参考文献リストに何を載せるかは、要項によって違います。九州大学のガイドは、この書き方でも評価が下がる可能性があるので、不安なら理由とともに担当教員に確認するよう勧めています。

引用の量:自分の文章が主、引用は従

引用はレポートの主役ではなく、自分の主張を支える材料です。著作権法第32条は、引用が「公正な慣行に合致する」ことと「引用の目的上正当な範囲内」であることを条件にしています。文化庁の著作権テキストはその例として、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、引用される分量が必要最小限度であることを挙げています。

引用だらけのレポートを直す手順

  1. 引用している部分(直接・間接とも)に印を付ける
  2. 段落ごとに、印のない自分の文が1つ以上あるかを確かめる
  3. 自分の文がない段落は、引用を1つに絞るか、間接引用で短くする
  4. 残した引用のあとに、その引用から何が言えるかを書く1文を足す
Before

山田(2020)は「[引用1]」と述べている。また、佐藤(2018)は「[引用2]」と指摘している。さらに、鈴木(2021)も「[引用3]」としている。

After

[テーマ]について、山田(2020)は[要約1]とし、佐藤(2018)は[要約2]と指摘している。本レポートは[自分の立場]をとる。その根拠となるのが、鈴木(2021)の「[引用3]」という指摘である。

直接引用を3つ並べる形をやめ、要約2つと直接引用1つの間に自分の立場を置きました。レポート全体の構成の中で引用をどこに置くかは、大学レポートの書き方で扱っています。

引用と剽窃の境界:症状から直し方を引く診断表

剽窃とは、他人の文章や考えを自分のものであるかのように使うことです。提出前に、自分のレポートに次の症状がないかを確かめてください。

症状何が問題か最初に直す箇所
本で読んだ内容を、出典を付けずに自分の言葉で書いた他人の考えを自分の考えとして示しているその文に出典を付け、参考文献リストに載せる
原文を「 」なしで写し、出典は段落の最後にだけ付けたどこからどこまでが引用か、読み手に分からない「 」で囲んでページを足すか、間接引用に書き直す
原文の語尾や語順だけ変えて、出典を付けた表現が原文に頼ったままで、要約になっていない原文を閉じて要点から書き直すか、直接引用に戻す
まとめサイトや書き手の分からないウェブ記事から引いた誰がいつ書いたか、根拠は何かを確かめられない記事が根拠にしている元の資料までたどり、そちらを引く
生成AIの回答をそのまま貼ったAIの回答は出典にならず、内容の正しさも確かめられていないAIが挙げた内容を元の文献で確かめ、その文献を引く

立命館大学のガイドは、Wikipedia やまとめサイトは匿名で誰でも書き込めるため、誰がいつ書いたか、根拠は何かに注意するよう求めています。ウェブ記事を出典にするときの見極め方は、ウェブサイトの参考文献の書き方へ。生成AIを使ってよいか、使ったことをどう書くかは授業のルールに従います。

よくある間違いをNG→OKで直す

提出前の見直しで見つかりやすい間違いを4つ、修正例と一緒に挙げます。

直接引用にページがない

Before

山田(2020)は「引用は自分の主張を支えるために使う」と述べている。

After

山田(2020)は「引用は自分の主張を支えるために使う」と述べている(p.[ページ])。

直接引用は、読み手が原文の位置を確かめられるようにページまで示します。ページのない資料なら、節名や段落番号で代わりに位置を示します。

「 」の中で文体をそろえてしまう

Before

(原文は「引用は主張を支える材料です」) 山田(2020)は「引用は主張を支える材料である」と述べている。

After

山田(2020)は「引用は主張を支える材料です」と述べている。

レポートを「だ・である」でそろえるのは「 」の外だけです。「 」の中は原文どおりに残します。

本文と参考文献リストの年が食い違う

Before

本文:佐藤(2019)によれば、…… 参考文献リスト:佐藤[名]. [書名]. [出版社], 2018.

After

本文:佐藤(2018)によれば、…… 参考文献リスト:佐藤[名]. [書名]. [出版社], 2018.

本文の著者名と年は、読み手がリストで文献を探す手がかりです。ずれていると文献を特定できません。

引用した文にその場で出典を付けておくと、本文とリストの対応が崩れません。インキでは本文に出典(DOI・URL・手入力)を付けると、書き出しのときに参考文献リストが自動で作られ、Word(.docx)で保存できます。学生向けのインキの使い方を見る

どこまでが引用か分からない

Before

[要約した内容A]。[要約した内容B]。[自分の意見](山田, 2020)。

After

山田(2020)によれば、[要約した内容A]。また、[要約した内容B]という。これに対して筆者は、[自分の意見]と考える。

出典が段落末に1つだけだと、自分の意見まで山田の主張に見えます。修正後は引用の範囲を「によれば」と「という」で区切りました。

書きながら出典を付け、提出前に本文と参考文献リストを突き合わせる。引用の間違いの多くは、この2つで防げます。

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