職務経歴書は、応募先が「この人に何を任せられるか」を確かめるための書類です。同じ求人に届いた書類が続けて読まれるため、1枚目の上から数行で何をしてきた人かが分かるかどうかは、読まれ方が変わりやすい部分です。書く材料は経歴のなかにすでにあるので、作業の中身は、思い出すことと、そのうち応募先に関係するものを選ぶことの2つです。
- 形式を先に1つ選びます。同じ経歴でも、並べる順を変えるだけで読み手が最初に受け取る情報が変わります
- 実績の欄には、担当した業務の名前ではなく、自分が動かした範囲と、その後で変わったことを書きます
- 分量はA4 2枚程度を目安にします。求人票や応募フォームに指定がある場合は、そちらが優先です
履歴書と職務経歴書は、読み手が探すものが違う
2つとも提出を求められることが多い書類ですが、読み手が確かめようとしていることは別です。履歴書に書いた職歴を文章に伸ばしただけの職務経歴書だと、2枚を読んでも受け取れる情報が増えにくくなります。
| 履歴書 | 職務経歴書 | |
|---|---|---|
| 様式 | 市販やWebの定型様式に沿って書く | 決まった様式がなく、項目と順序を自分で決める |
| 中心に置くもの | 学歴、職歴、資格などの事実 | 担当した仕事の中身と、そこで出した結果 |
| 読み手が確かめること | 経歴に食い違いがないか | 募集している仕事を任せられそうか |
| 分量 | 様式の欄に収める | A4 2枚程度に自分で収める |
| 書き直す頻度 | 応募先が変わっても大きくは変わらない | 応募職種に合わせて一部を差し替える |
応募先によっては、指定の様式だけを求めたり、履歴書のみで受け付けたりすることがあります。求人票の提出書類の欄を先に読んで、様式の指定、提出方法、ファイル形式を確かめてから書き始めてください。
3つの形式から、自分の経歴に合うものを選ぶ
職務経歴の並べ方には、大きく3つの形があります。どれを選んでも書く材料は同じで、変わるのは読み手が上から順に受け取る情報の順序です。
| 形式 | 並べ方 | 向いている経歴 | 気をつけるところ |
|---|---|---|---|
| 編年式 | 古い在籍先から新しい順に並べる | 同じ職種を続けてきた。在籍社数が少なく、担当範囲が段階的に広がってきた | 直近の仕事が最後に来る。職務要約で先に現在地を示さないと、読み終わるまで今の担当が分からない |
| 逆編年式 | 新しい在籍先から古い順に並べる | 直近の仕事が応募職種に近い。転職回数が2〜3回程度 | 古い在籍先ほど短くなるため、そこで身につけた基礎が抜け落ちやすい |
| キャリア式 | 在籍先ではなく、業務領域や職種ごとにまとめる | 職種をまたいでいる。同じ業務を複数社で担当した。在籍社数が多い | 時系列が読み取れなくなるので、在籍期間の一覧を別に置く |
指定がなければ、逆編年式から試すと決めやすいです。直近の仕事が最初に読まれるので、応募職種に近い経験を持っている場合はそのまま強みになります。反対に、直近の職種が応募職種から離れている場合や、同じ業務を何社かで繰り返し担当してきた場合は、キャリア式のほうが関係のある経験を前に出せます。編年式は、1社での在籍が長く、担当範囲が広がってきた過程そのものを見せたいときに向きます。
形式は途中で変えてもかまいませんが、1通のなかで混ぜないでください。前半が逆編年式で後半がキャリア式になっていると、読み手は同じ経験が2回出てきたのか、別の経験なのかを判断しづらくなります。
上から順に並べる項目と、分量の配分
項目の並びは、次の順がよく使われます。全体をA4 2枚とすると、配分の目安は職務経歴の本体に6割前後です。
- 表題、提出日、氏名(2〜3行)
- 職務要約(3〜5行)
- 職務経歴(全体の6割前後。在籍先ごと、または業務領域ごとに、会社概要、在籍期間、所属と役職、担当業務、実績)
- 活かせる経験・知識・スキル(箇条書きで5行前後)
- 資格・語学(該当があれば)
- 自己PR(1段落、5行前後)
まとまった文章になるのは、多くの場合この2つの欄(2の職務要約と6の自己PR)です。どちらも、書く順番としては最後に回してください。3の職務経歴を先に埋めてから、そこに並んだ事実をもとに書く順にすると、要約と本文が食い違いません。
会社概要は、事業内容、従業員数、設立年などを1〜2行に収めます。応募先が知りたいのは在籍先の説明ではなく、そこであなたが何をしていたかなので、ここが長いと本題まで届くのが遅くなります。
実績は、業務の羅列から一段進める
職務経歴の欄で差が出やすいのは、担当業務の下に置く実績です。担当業務だけが並んでいる書類は、同じ職種の人がほぼ同じ内容になります。
実績の1行は、次の3つで組みます。
- 対象。何に手をつけたか
- 自分がした行動。決めたこと、変えたこと、始めたこと
- その後で変わったこと。数字か、状態の変化
「売上を伸ばしました」だけだと、伸びたのが担当の成果なのか、市場の動きなのかが読み取れません。「見積の提出までにかかっていた日数を、社内の確認手順を2段階に減らして短縮した」のように、自分が動かした範囲が書いてあると、同じことを応募先でもできるかを読み手が判断しやすくなります。
数字は、記録が残っているものだけを書きます。探す先は、金額、件数、人数、期間、頻度、割合の6つです。売上や利益を出しにくい職種でも、処理した件数、短縮した時間、作った仕組みが引き継がれた範囲なら手元に残っていることがあります。
| 職種の例 | 数字にしやすいもの | 数字がないときに書けること |
|---|---|---|
| 営業 | 受注件数、受注金額、担当社数、商談化率 | 失注理由の記録の付け方、引き継ぎ資料の整備 |
| 事務・管理部門 | 処理件数、締めまでの日数、削減した工数 | 差し戻しの多い項目を様式に反映した、手順書を作った |
| エンジニア | 対応した障害件数、リリース頻度、チームの人数 | 手順の文書化、レビューの観点の共有、当番制の設計 |
| 販売・接客 | 客単価、担当店舗数、指導した人数 | 新人向けの説明手順、在庫確認の当番表 |
数字を書いたら、その横に1行、なぜその結果になったかを添えます。ここがあると、応募先で同じことが起きるかどうかを読み手が見当づけやすくなります。数字だけが並んでいる書類は、良い結果が出たことは分かっても、次も出せるかまでは読み取りにくくなります。
未経験の職種に応募するとき
経験のない職種へ応募する場合も、書く材料は今までの仕事のなかにあります。手順は、応募先の求人票を先に開くところからです。
- 求人票の必須要件と歓迎要件を、箇条書きで書き出す
- それぞれについて、自分がしてきた業務のどれが当たるかを対応させる。完全に一致しなくても、扱う相手や進め方が近ければ候補に入れる
- 対応するものがあった業務を、職務経歴の前のほうに置く。キャリア式にすると並べ替えやすい
- 対応するものがなかった要件は、書かないか、学習中であることを実務経験と分けて書く
4つ目を混ぜないことが、この書き方の要点です。学習中のことを実務経験と同じ欄に並べると、面接で経験の範囲を確かめる質問が増えることがあります。分けて書いてあれば、どこから任せられるかを読み手が判断しやすくなります。
A4 2枚に収める
書き出すと2枚を超えることが多いので、削る順番を決めておくと、実績まで削ってしまう事故を避けられます。
- 会社概要を1〜2行にする。事業内容と規模だけ残す
- 応募職種と関係の薄い在籍先を、期間、社名、職種の1行に集約する
- 担当業務の箇条書きを、同じ種類のものでまとめる。5行が3行になる
- 職務要約から、職務経歴に書いてある内容の繰り返しを外す
実績の行は最後まで残します。ここを削ると、担当業務の一覧だけが残った書類になり、削った意味がなくなります。1から4まで通しても2枚に入らない場合は、在籍社数が多いか、職種をまたいでいる可能性が高いので、キャリア式に切り替えて業務領域ごとにまとめ直すほうが早く収まります。
提出前の点検表
点検表の3列目には、直し方を書いた節を挙げてあります。当てはまった行があれば、その節に戻って直してください。最後の1行は表記の確認なので、節に戻らずその場で直せます。
| 見るところ | 当てはまる書類の例 | 直し方を書いた節 |
|---|---|---|
| 実績の欄に、数字か状態の変化が1つ以上入っているか | 実績の行が「新規開拓営業を担当」で終わっている | 実績は、業務の羅列から一段進める |
| 求人票の必須要件に対応する記述が、書類のどこかにあるか | 必須要件の3つ目に当たる業務が、どの在籍先にも出てこない | 未経験の職種に応募するとき |
| 担当業務の箇条書きだけで終わっている在籍先が残っていないか | 直近の在籍先に担当業務が6行あり、実績が0行 | 実績は、業務の羅列から一段進める |
| A4 2枚に収まっているか | 3枚目に活かせる経験の欄がはみ出している | A4 2枚に収める |
| 職務要約と職務経歴の本文が食い違っていないか | 要約は営業7年、在籍期間を足すと5年 | 上から順に並べる項目と、分量の配分 |
| 在籍期間、社名、部署名の表記が履歴書と揃っているか | 履歴書は2019年4月、職務経歴書は平成31年4月 | 履歴書と並べて月単位まで突き合わせ、西暦か和暦に統一する |
当てる時点を分けておくと、同じ行を何度も見ずに済みます。書き終えた直後は1行目と3行目で、実績の行が入っているかだけを確かめます。A4 2枚に削った後は4行目と5行目です。削る過程で職務要約と本文がずれやすいので、分量が決まってから読み直します。応募先を変えて出す前は2行目で、業務領域や在籍先を並べる順番と、活かせる経験の欄を、その求人票の必須要件に合わせて入れ替えます。6行目の表記は、文面を直し終えた後にまとめて見ます。
新卒のエントリーシートとは、書く対象が違う
新卒の選考で書いた書類の型をそのまま持ち込むと、分量の配分が合いません。エントリーシートは設問ごとに文章を書く書類で、読み手が見ているのはこれから何ができそうかです。職務経歴書は、すでに担当した仕事の記録が本体で、文章としてまとまるのは職務要約と自己PRの欄です。
| 新卒のエントリーシート | 職務経歴書 | |
|---|---|---|
| 本体 | 設問ごとの文章 | 在籍先ごと、または業務領域ごとの事実の記述 |
| 中心に置くもの | 学生時代の経験と、そこで自分が決めたこと | 担当した業務の範囲と、出した結果 |
| 志望の理由 | 独立した設問として書くことが多い | 添え状や面接で扱い、書類の本体には入れないことが多い |
新卒側の書類の作り方は、就活の志望動機の書き方と業界系統別の例文と自己PRの書き方と強み別の例文にまとめてあります。転職の選考でも、面接の日程を調整するメールや内定を承諾するメールの文面は共通なので、面接日程調整メールのテンプレートと内定承諾メールのテンプレートを使ってください。