エントリーシートで手が止まりやすいのは、1問ずつの書き方よりも、複数の欄をどう配分するかのところです。志望動機、自己PR、ガクチカを別々に埋めていくと、同じ経験の説明が3回出てきたり、長所の欄と短所の欄で言っていることが食い違ったりします。先に全部の設問を並べて、どの経験をどこに置くかを決めてから書き始めると、書き直す回数が減ります。
- 書き始める前に、提出フォームか様式を最後まで開いて、設問文と字数の上限を1枚に書き出します。設問の数が見えてから、材料の割り振りを決めます
- 1つの経験を複数の欄で使うかどうかは、最初に決めます。書き終えてから気づくと、2つの欄をまとめて書き直すことになります
- 提出前に確かめるのは文章の巧さではなく、設問への対応、結論の位置、誤字、話し言葉、欄の埋まり方の5つです。どれも自分で判断できます
エントリーシートと履歴書は、埋める中身が違う
エントリーシート(ES)は、応募先が設問を用意して、それに文章で答えてもらう選考書類です。氏名、学歴、資格のように様式が決まった項目を埋める履歴書と違い、設問そのものが応募先ごとに変わり、回答は1問あたり数百字の文章になります。同じ会社に両方を出す場合は、経歴を履歴書に、設問への回答をエントリーシートに書く分担になります。志望動機や自己PRの欄が両方の書類にあるときは、狭いほうの欄に合わせて短くした版を用意して、長いほうの欄には残りの説明を足してください。
設問は5つに分かれ、欄ごとに中心に置くものが違う
設問文の言い回しは応募先ごとに変わりますが、答える中身はおおむね次の5つのどれかです。同じ経験を材料にしても、欄によって取り出す部分が変わります。
| 設問 | 欄の中心 | 骨組み |
|---|---|---|
| 志望動機 | なぜこの会社なのか | 結論、きっかけになった経験、この会社を選んだ事実、入社後 |
| 自己PR | 何ができるのか | 強み、その強みが出た場面、応募先での使い道 |
| ガクチカ | どう取り組んだのか | 結論、状況、行動、結果、学び |
| 長所・短所 | 自分をどう見ているか | 長所は場面つきで、短所は対処までを1組で |
| 入社後の目標 | 何を担当したいのか | 職種、最初に担当したい仕事、中期で身につけたいこと |
このうち上の3つは、欄ごとに書き方が分かれるので専用のページに分けてあります。志望動機の欄は就活の志望動機の書き方と業界系統別の例文、自己PRの欄は自己PRの書き方と強み別の例文、ガクチカの欄はガクチカの書き方と経験タイプ別の例文に、それぞれ構成とテンプレートを置いています。残る長所・短所と入社後の目標は、このページの下で骨組みから扱います。
「学業以外で力を入れたこと」「困難を乗り越えた経験」「あなたを一言で表すと」のような変則的な設問も、上の5つのどれかに寄せられます。困難の設問はガクチカ、一言で表す設問は長所の欄と同じ材料で書けます。ただし設問文に条件が付いているときは、その条件が優先です。「学業以外で」とあればゼミの話は外し、「1つ挙げて」とあれば1つに絞ります。
5つの欄を書く順番を決める
上から順に埋めると、志望動機で使った経験を後の欄でもう一度使うことになり、そこから全体を組み直すことになります。経験を扱う欄から先に書くと、材料の重なりが早い段階で見えます。
- 設問文、字数の上限、提出形式(Web入力、ファイル添付、手書き)を1枚に書き出す。ここで全体の分量が決まる
- ガクチカから書く。使う経験が決まると、自己PRと長所の欄に何を書けるかも一緒に絞れる
- 自己PRを書く。ガクチカで書いた経験のなかで繰り返し出てきた自分の動き方を取り出す
- 志望動機と入社後の目標をまとめて書く。この2つは応募先ごとに差し替える部分なので、続けて手をつけると調べた材料をそのまま使える
- 長所・短所を書く。ここまでの3枚を読み返してから埋めると、書いた内容と食い違いにくい
- 全部そろってから、次の節の表を上の行から順に当てる
2社目からは、4番の2つだけを差し替える作業になります。2番と3番で作った原稿は、字数の指定に合わせて縮めるか伸ばすかの調整で足ります。締切が近い応募先が複数ある場合は、4番だけを先に社数分そろえておくと、提出の順番を後から入れ替えられます。
長所・短所は、対処の一文までで1組になる
長所の欄は自己PRより字数が短く、100字から200字ほどの欄をよく見かけます。場面を1つに削ることになるので、自己PRで使った場面をそのまま縮めるより、繰り返している行動として書くほうが収まります。どの語を使うかで迷ったときは、自己PRの書き方と強み別の例文に長所の語を場面の言い方へ置き換えた一覧があります。
短所の欄で扱いが分かれるのは、長所への言い換えで文を閉じるかどうかです。「心配性ですが、裏返せば準備を早く始められます」で止めると、短所を聞いた欄に対して長所の話が返っている状態になります。言い換えの後ろには、その短所が出たときに自分で決めて続けている手順を1文置いてください。直りきっていなくてもかまいません。試している最中のことを書けば、その欄で聞かれたことには答えられます。
長所・短所を並べるときは、2つが同じ場面で両立しない組み合わせになっていないかを見ます。「慎重に確かめる」を長所に置きながら、短所に「決断が早すぎる」を置くと、片方が成り立つともう片方の説明が崩れます。同じ性質の裏表として書くのは、これを満たす手段の1つです。同じ場面から両方を取り出せば、組み合わせを選び直す必要もありません。1つの欄に長所・短所をまとめて書く様式もあるので、下のテンプレートには分けて書く型とまとめて書く型の両方を置いています。
入社後の目標は、募集職種の一覧を開いてから書く
この欄が志望動機とは別に用意されている応募先では、志望動機の締めに書いた1文をそのまま流用すると、2つの欄が同じ内容になります。分けて書くなら、次の3つに割ります。
- 最初に担当したい仕事。採用ページに載っている職種名と、その職種が実際に扱う仕事の言葉を使う
- そのために身につけること。すでにできることと、現場でしか身につかないことを分けて書く
- 数年後に関わりたい範囲。部署名まで書かなくてよく、扱いたい相手や領域で足りる
総合職の採用のように、入社時点で配属が決まらない募集もあります。その場合は職種名を1つに絞らず、担当したい仕事の内容を書いたうえで、希望と違う配属になったときに何から始めたいかを1文添えると、欄が空きません。募集要項に職種の区分が書かれていないときも同じ書き方で足ります。
「入社後の目標」の欄が用意されていない応募先では、この内容を志望動機の最後の1文に畳んで入れます。下のテンプレートには300字の型と、150字に縮めた型の両方を置いてあります。
提出前に見る5項目
全部の欄が埋まったら、次の5つを上から当てます。1つの欄に5項目をまとめて当てるのではなく、1項目を全部の欄に通してから次の項目へ移ると、同じ欄を何度も開き直さずに済みます。
| 見るところ | 直し方 |
|---|---|
| 設問文の条件に全部答えているか | 設問文から条件(「学業以外で」「1つ挙げて」「具体的に」「200字以内」)を書き出し、回答と1つずつ突き合わせる |
| 結論が先頭に置かれているか | 1文目を読んで何の話か分からなければ、前置きを後ろへ回す。字数の指定がある欄では、前置きの分だけ行動の説明が削られる |
| 誤字脱字と表記の揺れがないか | 音読するか、入力欄から別の場所へ貼り付けて読む。書類では「貴社」に統一する(面接では「御社」)。「私」と「自分」、数字の全角と半角のように揺れやすい語も、検索してどちらかへ寄せる |
| 話し言葉が混ざっていないか | 「なので」「〜って」「けど」「ちょっと」「〜みたいな」を探して書き言葉に直す。文末が「〜と思います」で続く場合も、断定できる部分は言い切りに変える |
| 回答欄が8割以上埋まっているか | 大きく空いた欄は、行動の説明を足して埋める。字数が足りないのは書く材料が集まっていない場合が多いので、言い換えで水増しせず、その経験の時期と自分がした動作を思い出すところへ戻る |
上の2つを先に当てるのは、設問の条件を外していたり結論が後ろにあったりすると、直した時点で本文の配分が変わり、下の3つも一緒に動くからです。誤字、話し言葉、欄の埋まり方は、文章が固まってから当てるほうが二度手間になりません。
下のチェックツールは、この5項目とは別の観点から回答を見ます。ツール側で扱うのは、使い回し感、企業とのつながりの弱さ、根拠の薄さ、抽象的な自己PRの4つで、影響の大きいものから最大3件が示されます。設問1つ分ずつ貼り付けて、自分で読み返す前に通しておくと、書いた本人には見えにくい箇所を先に絞れます。
複数社に出すときに、設問をまたいで崩れる箇所
5つの欄を別々に直していると、1枚に並べたときにだけ見えるずれが残ります。志望動機と入社後の目標を差し替えて2社目に出す段では、次の3つが出やすくなります。
- 同じ経験の説明が欄ごとに違う。ガクチカでは2年続けたことになっている活動が、自己PRでは1年になっている
- 長所・短所が同じ場面で両立しない。長所に置いた性質が成り立つ場面では、短所に置いた性質のほうが成り立たない
- 前の応募先向けの語が残っている。業界名、職種名、製品の呼び方が、いま出そうとしている会社のものと混ざっている
突き合わせは、欄ごとではなく1枚にまとめてから行います。全部の回答を1つのファイルに設問の順で貼り、固有名詞、時期と数字、経験の説明の3つを縦に読んでください。3つとも欄をまたいで一致していれば、この種のずれは残っていません。応募先を変えて出すときは、この1枚の固有名詞だけをもう一度追ってから提出します。
生成AIを使うと、設問をまたぐところが合わなくなる
応募先が生成AIの利用について条件を出しているなら、そちらに従ってください。以下は、その記載が見当たらない場合の話です。
欄を1つずつ渡している限り、モデルの側には他の4つの欄に何を書いたかがありません。1問単位では通る回答が返ってきても、上の3つのずれは渡していない情報の側で起きているので、返ってきた文からは判断できません。
渡せるのは、設問をまたぐ突き合わせに関わる作業です。
- 5つの欄の回答をまとめて貼り、同じ内容を書いている箇所を拾わせる
- 5つの欄から固有名詞だけを抜き出させ、前の応募先向けの語が残っていないか並べて見る
どちらも、上の1枚ができてからの作業です。欄ごとに渡している間は、この確認は成立しません。
選考のなかでは、エントリーシートの提出前後にメールのやり取りも発生します。インターンに参加した後のお礼はインターンのお礼メールのテンプレートに、面接の日程を返信するときの文面は面接日程調整メールのテンプレートにまとめてあります。